Blockstream季刊誌:2023年第1四半期版
Company Quarterly Update

Blockstream季刊誌:2023年第1四半期版

Chase Smith

今年の第1四半期は弊社が技術プロバイダーを務めるLiquid Network、そして弊社製品であるCore Lighting、Blockstream Green、Blockstream Jadeのそれぞれにおいて着実な改善が行われ、Bitcoinの技術面からの推進にとって実りある期間となりました。

また、Bitcoinマイニングのコロケーションサービスの拡大やスケーラブルなマイニング技術を活用した業界初の業務用品質のマイニング機材の開発も推し進めています。その他にもBlockstream Research部門を正式に設立し、codex32シードエンコーディング (BIP93)・MuSig2署名スキーム (BIP327)といったBIP (ビットコイン改善提案)ドラフトを通したセキュリティやプライバシーの改善に向けた活動を行いました。

今回の記事では2023年第1四半期のBlockstreamの活動を共に振り返り、Bitcoinエコノミーの実現に向けてインフラを整備する弊社が残した実績をご覧ください。

マイニング事業の拡大

空前の需要に応える形で弊社が運営するBitcoinマイニング・コロケーションサービスの拡大を急ピッチで行っており、北米で現在建設中・建設予定の施設の電気容量は合計500メガワットを超えています。マイニング施設とサービスのスケールアップにより機関投資家や個人投資家の需要に応えながらも、再生可能エネルギーの導入に力を入れています。また成長戦略の一環としてスケーラビリティを意識した業界初の業務用品質のビットコインマイニング機材の開発も進めています。この最新鋭のマイニング機材に関しては2021年にSpondooliesを買収して以来のご報告を今年下半期に予定しています。

Liquid上の資本市場の成熟が継続

Liquid Network上のデジタル資産市場の成熟が進んでおり、第1四半期にも新たな金融ユースケースやビジネスモデルがビットコインベースの資本市場に登場しました。第1四半期の出来事としてはBlockstream Mining Note (BMN)が36ヶ月の満期までの折り返し地点を迎えたほか、Mifielによる約束手形の発行が始まり、発行金額の合計が現時点で3.3億米ドルに達していることから年末までに7億ドルに達する見込みです。

BMN

BMNは米国外の適格投資家にBlockstreamのマイニング施設における秒間2,000テラハッシュ (TH/s)のハッシュレートをトークン化証券として提供します。現時点でBMN1トークンあたり約6.44 BTCが採掘されており、3年の満期まで残り半分弱となっております。第1~7トランシェまでの投資家は既に未実現利益が出ていることになります。

"前回のご報告以来、満期におけるBMNの価値の予測レンジの幅は縮小しており、現在の予測値は満期日において7.95から8.36 BTCとなっています。ハッシュレートの増加率が年間80%近いレベルでない限り、1 BMNトークンあたり8 BTCは超えてくるでしょう。" — Blockstream ビジネス開発チーム Adolfo Contreras氏

Mifiel

リーガル企業のMifielがLiquid上で約束手形の発行に乗り出したことも大きな話題となりました。現時点で3.3億ドル分発行されているこの約束手形は金融業界でのトークン化に一石を投じる実例となっており、そのセキュアで効率的な取引を実現する上でLiquidが重要な役割を果たしています。

約束手形のトークン化によって発行プロセスが効率化されるほか、高価なカストディサービスの必要がなくなることで費用面でのメリットが得られます。また債権のトークン化は企業が世界中から流動性を募ったり、世界中で投資機会を探すことができるようになるため、資本市場におけるこれらの商品の管理や取引を大きく変革させるものと期待できます。

Liquid上で約束手形を発行することによって金融機関のAppointed Officerや手形を保管するDocument Custodianが不要になります (青色でハイライト)。手形を物理的に金融機関からDCへと移送しその都度監査するコストがかからなくなるため、手形の取引が全体を通して大きく効率化されます。

Bitcoin周りの開発

Bitcoinのインフラ開発はBlockstreamのミッションの中心にあります。Bitcoinで初めてのサイドチェーンからライトニング開発の最先端、業界で最もアクセシブルなオープンソース・ハードウェアウォレットまで、Bitcoin周りの開発は弊社のDNAともいうべき業務です。

第1四半期もエンジニアリングチームは弊社が手掛けるBitcoinソリューションの新機能の開発やアップグレードを通してこのミッションを遂行しました。

Liquid Network

Liquidの技術プロバイダーとしてBlockstreamはLiquidの基礎となるオープンソースコードベース・Elementsのアップデートや最適化に注力しています。今四半期で注目の改善点はネイティブテストネットの追加、Liquidノードをより安価なハードウェアで余裕をもって実行できるようメモリ使用量50%削減の実現、そしてパフォーマンスの最適化です。

初回同期(IBD)後のメモリ使用量のビフォーアフター。テスト環境はRAM 8GB、スワップ領域4GBの仮想マシン。

フロントエンド開発も盛んに進められており、仲介者なしで担保型のオプション取引を実行するためのPoC実装であるLiquid Options Clientのリリースがありました。このクライアントアプリはローカルで実行することができ、Liquidに接続してWebのフロントエンドまたはローカルアプリからRPC経由で呼び出すことができます。また、Blockstream Asset Issuerアプリの新バージョンもリリースされ、ブラウザ内ウォレットへの対応、ユーザー体験を改善する新UIへの移行、そして再発行・分配・バーンなどの機能追加がなされました。

これらのLiquidプロトコルアップデートやツールの公開によって開発者はBitcoinの金融レイヤーの開発を進め、新しい金融商品を提供できるようになります。

Lightning Network

弊社のオープンソースライトニングノード実装であるCore Lightning (CLN)はライトニングの仕様に則っているため他のライトニングノード実装と互換性があるほか、モジュールで構成されるためカスタマイズが容易です。

31人の開発者とコミュニティメンバーの貢献によりCLNチームは2月にv23.02をリリースし、複雑なクエリを実行できるSQLプラグインの追加や大規模なノードに向けたパフォーマンス改善、そしてDual FundingおよびBOLT12 Offersの最新版の仕様への対応が行われました。

SQLプラグインは様々なCLNデータベーステーブルの自由な検索を目的としており、リモートからのデータアクセスに利用できるcommandoプラグインと組み合わせて利用することもできます。また、v23.02ではノードのスタートアップ時やピア接続時において一部のユーザーが報告していた問題を修正するパフォーマンス改善も盛り込まれました。

最後にCLNが提供する2つの試験的機能 (Dual FundingとOffers)はまもなくライトニングの仕様が最終化されるのに先立って、他のライトニングノード実装との相互互換性テストが行われています。

もし貴方がCLNノードを運用している場合、ぜひ急成長しているCLN Build On L2 コミュニティに参加してノードの最適化について学んだり、CLN開発者やパワーユーザーとの交流をお楽しみください。

Blockstream Green

去る第1四半期、刷新された新生Green Walletのリリースで初心者から上級者まで満足できるセルフカストディ体験の提供が始まりました。新しくなったBlockstream Greenモバイルアプリはユーザー特有のニーズに合わせてより洗練されたエクスペリエンスを、より直感的でシンプルなインターフェースを通して提供しています。(デスクトップ版は準備中。)

最新版ではユーザーはまずシングルシグウォレットをセットアップし、リカバリーフレーズを生成します。追加のセキュリティが必要なユーザーは2段階認証(2FA)を使ったマルチシグやBIP39 パスフレーズの追加、そしてBlockstream JadeやTrezorなどのハードウェアウォレットの利用による鍵のオフライン保管が可能です。

今回のBlockstream Greenのデザイン刷新は将来的なアップデートの布石ともなっており、今後は高速で安価なBitcoin支払いを実現するライトニング統合 (Greenlightを利用)、支払いを記録・管理するための読み取りモードのウォレット、そしてより多様なハードウェアウォレットへの対応が予定されています。

Greenの新しい機能にリリース前に優先的にオプトインしたい方は新しくできたGreenのベータプログラムに参加してください。このプログラムを通して得られたフィードバックを元に、あなたのお気に入りのBitcoinウォレットであり続けられるよう改善を行ってまいります。

新しくなったBlockstream Greenウォレットのホーム画面、PINアンロック画面、2段階認証設定画面 (左から右)。

Blockstream Jade

BitcionおよびLiquidアセットをコールドウォレットで管理したいユーザー向けに弊社が提供する完全にオープンソースなハードウェアウォレット・Blockstream Jadeはここ数ヶ月でいくつかの重要な機能追加と改善を経てきました。

Jadeでは新たにフル・エアギャップ対応によりトランザクション署名をウォレットからより隔離し、攻撃表面を小さくすることに成功しました。また、SeedQR機能の追加によりウォレットのシードを便利かつ安全に保管することができるようになりました。QRスキャン機能の追加はユーザーが選べるウォレットの幅を広げ、現在では7つの人気ウォレットと組み合わせられるようになりました。

また、ご自身でエントロピーを提供してシードフレーズを生成したいユーザー向けにシードフレーズの最終単語を計算する機能や電子サイコロの機能が追加されました。BIP85への対応により、1つのマスターシードから決定論的に複数のシードを導出することもできます。

ハードウェア自体のパフォーマンスも改善され、(パスフレーズの入力など)タスクやプロセスに所要する時間が短縮されたことでユーザーのQoLが向上しました。

これらのアップグレードは全体的にJadeのユーザービリティ、速度、セキュリティを高めるものとなっています。開発チームはこれからもアップグレードを計画しており、Liquidのスワップ機能やMiniscript、Taprootなどへの対応、そしてブラインドオラクルを自前で運用したいユーザー向けのUmbrelアプリのリリースなどを計画しています。

Blockstream Researchの設立

第1四半期には何年も活動していた弊社の応用リサーチチームをBlockstream Researchとして正式に設立したほか、いくつかの研究成果をドラフトBIPとして公開しました。さらに、Liquidにスマートコントラクト言語のSimplicityを追加するプルリクエストも提出できました。

2014年にBlockstreamが設立されて以来弊社のリサーチチームはBitcoinの研究開発に貢献しており、OP_CSV、SegWit、Taprootなどの技術を提案から導入までサポートしてきました。今日まで暗号学と応用研究の最先端でキープレイヤーを務める弊社リサーチチームはこれからは新しく設立されたBlockstream Research部門の立場でMuSig、FROSTROASTなどの新しいBitcoinでのイノベーションを推進していくこととなります。

Blockstream Researchが第1四半期に提案したBIPは以下のものです:

BIP 93: BIP32 階層的決定性ウォレットのシードフレーズのエンコード方式としてcodex32を提案しました。シードの生成、分割、再構成、チェックサム計算、そして検証の全てを紙と鉛筆で行える規格です。シャミアの秘密分散を用いてマスターシードのセキュアなバックアップと復元を行います。

BIP 327: 現在トランザクションの署名に利用されているECDSAより効率とセキュリティを高めた、複数の署名を集約するMuSig2という手法を定義します。

また、広く期待を寄せられているスマートコントラクト言語SimplicityについてはLiquidに導入するドラフトPRの提出という大きなマイルストーンを達成しました。SimplicityはBitcoin Scriptの代替として設計された第一原理から構成される低レベル言語です。一部の開発者はSimplicityの導入をベースレイヤーの固定化前の最後のソフトフォークとなりうるものと見ています。SimplicityがLiquidに導入されると開発者はトラストを最小化するエスクロー、Vaults、デレゲーションなど、より表現力の高いスマートコントラクトを利用してより複雑なアプリケーションを構築できるようになります。

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