ビットコインベースのP2Pデリバティブ取引
Blockstream Research

ビットコインベースのP2Pデリバティブ取引

Ben Richman, Chris Atkinson

4月16日 (UTC)、クリプリガレージ社とBlockstreamの間でビットコインブロックチェーン上でのトラストを最低限にした先渡し契約のトランザクションが行われました。これはクリプトガレージの、エキサイティングな新しいピア・ツー・ピアの暗号資産デリバティブプロトコルに基づくものです。ICE暗号通貨データフィードからスポット価格を参照することにより、オラクルが自動的にトランザクションを決済しましたーデリバティブがカストディとしてのサードパーティまたはP2Pカウンターパーティリスクなしに交換、決済されうる可能性を実証するものです。

先渡し契約とは?

先渡し契約とは、将来の特定の日に一定の価格(「先物レート」)で資産を売買する双務契約を表すデリバティブの一種であり、通常価格変動に対し戦略的にヘッジを行うのが目的です。先物レートは決済時に相互に同意された適正価格であり、契約の作成時のスポット価格、金利からの成長、保管のコストなど諸要素を勘案したものです。先渡し取引は2者間で処理され、通常取引所やクリアリングハウスを必須としないので、契約条件を満たすことについて双方とも相手方を信頼しなけれいけません。

ビットコイン建てデリバティブ契約

先物契約は先渡し契約と似ていますが、ビットコイン業界においてより一般的にはBitMEXやCMEのような取引所で取引されています。投機的取引に加えて、先物は実用的な目的のためマイニングプールを始めとする顧客によって、バランスシートに大量のBTCを保有していることによるボラタリティリスクに対するヘッジとして利用されています。先物は部分的にのみ担保付であり、担保の確保について仲介人として機能する取引所に頼っています。担保は限定的であるため、大きな価格変動は取引所(顧客も!)の懐を空っぽにする可能性があります。

一方、先渡し契約は通常いかなる担保によっても確保されておらず、双方による担保管理を必要とします。どちらのアプローチも契約を結ぶ両当事者間の相互信頼(トラスト)に頼っています。担保の不在は、当事者それぞれが相手方が契約の完了時、受渡不履行に見舞われるリスクにさらされていることを意味します。

トラスト最低限の先渡し契約ー新しい種類のP2Pデリバティブへようこそ。

トラストへの新しいアプローチ

トラスト最低限のデリバティブ契約は両当事者によるビットコイン建ての担保の差し入れと、それが2-of-2のマルチシグネチャスマートコントラクトで満期日に各参加者からの署名と信頼される価格のフィードのオラクルを使用して自動的に払い戻されるまでロックされることを可能にします。

クリプトガレージのビットコイン上での実装はDLC(Discreet Log Contracts)基づくもので、MITデジタル通貨構想のタデウス・ドライジャによって最初に提案されました。クリプトガレージの中曽根豊が、このコンセプトをさらに「トラストレス先渡し契約」へと進め、金融工学を適用してDLCを金融商品として実用的なものにしました。

トランザクションを開始するにはまず、当事者Aと当事者Bは取引において保持する最大の利益と損失のエクスポージャーを投稿します。契約のあらゆる可能な結果が、次に Contract Execution Transactions (CETx)として知られる部分的なトランザクションとして先立って生成されます。満期日が来ると、オラクルがBTCUSDのスポット価格を署名付きでブロードキャストし、当事者Aまたは当事者Bのどちらかが、対応するCETxに署名を送信します。

署名が受信されオラクルの署名とマッチし次第、決済が完了します。一方のカウンターパーティがオラクルによって引用されたレートとは異なる「嘘」のブロードキャストを試みた場合、そのカウンターパーティは正直(または後からの)カウンターパーティへ自身の全ての担保を失います。即決へのインセンティブを与えるため、どちらのカウンターパーティも満期日に署名しなかった場合、トランザクションは「遅延」状態に入り、先に気付いた当事者が全ての担保を引き出すことができます。

トレード・デー

4月9日、クリプトガレージとBlockstreamはそれぞれ、一時間以内に決済される予定で、1 BTCに対して5,250 USDの権利行使価格、4月16日00:00 UTC期限切れ予定にて約0.16BTC担保を差し入れました。取引は、スポット価格のキャップとフロアがフォワード計算に使用され、両当事者とも担保へコミットした分以上に損失を被ることがないよう構成され、よって追加の回収についてカウンターパーティを信頼(トラスト)する必要性が除かれました。Blockstreamは、もちろん、ビットコインでロングポジションを取りました。

4月16日の00:40 UTC、Blockstreamとクリプトガレージは、ICE仮想通貨データフィードに従って5,032ドルの価格で先渡契約を締結し、差し入れられた担保は自動的にそれぞれのウォレットへ再分配されました。クリプトガレージは、ショートポジションを取るという鋭い先見の明のおかげで、430万satoshi(約230米ドル)の利益を上げました。

この場所を借りて記録として残しておきますが、Blockstreamは今もBTCについてロングポジションであり、タイムマシンがあったとしても全く同じようにロングポジションを取るつもりです。

今後の予定

トランザクションはビットコイン上で完了しましたが、クリプトガレージは彼らのクリプトデリバティブの取り組みを拡張してLiquid Bitcoin (L-BTC) や他のネットワーク上のIssued Assets について、Liquid Network上で様々なタイプのコントラクトをサポートする予定です。クリプトガレージのLiquid上のJPY(日本円)ステーブルコインは金融庁によって承認された唯一のJPYトークンで、近い将来において、とても興味深いトラスト最低限のユースケースを提供してくれるでしょう。

参加しよう

P2Pトラスト最低限のデリバティブアプリケーションはBlockstreamのLiquid Networkに近日登場予定です。ネットワークのメンバーになることについてもっと知りたいという企業の方はBlockstreamとつながって下さい。ビットコインベースのP2Pデリバティブの可能性をもっと探りたい、または自身でトラスト最低限のデリバティブ契約を促進すること興味がある方は、追加の情報を得るためクリプトガレージに連絡して下さい。

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