長期的に計画されてきたBlockstream Greenのマルチシグセキュリティ強化の一環として、本日よりBlockstream Greenの_garecoveryリカバリープロセス_に利用されるタイムロックの仕組みをnLockTimeからCheckSequenceVerify (略称:CSV、CSVファイルタイプとは無関係)へと変更しました。Blockstream Greenユーザーは何もする必要ありません。アップデートはBlockstream側の変更だけで、ウォレットの使い方はこれまで通りです。
CSVの導入がもたらす主な変更点はBlockstreamのサーバーが遮断された場合や二段階認証(2FA)手段を失った場合にビットコインアカウントをgarecoveryプロセスでリカバリーする際に表れます。なんと、これまでのようにトランザクションのたびにタイムロックをバックアップするためのメールアドレスを入力する必要がなくなります。リカバリーフレーズ(ニモニック)は相変わらず必要になりますので安全に保管してください!
nLockTimeからCSVへの移行はプライバシー面でも、トラスト最小化の面でも効果的です:
- プライバシー: 新しいアカウントをメールアドレスに紐付ける必要がなくなります。
- トラスト最小化: BlockstreamのサーバーがnLockTimeのバックアップを送ってくれることを信用しないでよくなります。代わりに、二段階認証期限が切れた後に保管してあるニモニックとgarecoveryのみでリカバリーフレーズできます。
裏の仕組み自体はかなり複雑なので、ヘルプセンターの記事で変更に関する動機や詳細情報をご覧いただけます。
ビットコイン2-of-2アカウントにおける新たなトランザクションにのみ適用
もしすでにBlockstream Greenの通常のビットコインアカウント(2-of-2)を利用されている場合、既存のタイムロックのバックアップファイルは引き続き安全に保管してください。(もし設定していなければ、タイムロックのバックアップをオンにすることをおすすめします。)
CSVによって保護されるのは以下のものだけです:
- 本日以降に受け取る新たなトランザクション
- 送金時に受け取ったお釣り
- 自身に対して送金したトランザクション
Liquidアカウントはローンチ時からCSVを利用しており、本日の変更には無関係です。ビットコイン2-of-3アカウントもタイムロックを使用していないため(3つ目の鍵がgarecoveryに使用されるため)、影響ありません。
CSVのトレードオフ
トラストやプライバシーの面での大きな改善の一方で、CSVへの移行に関してユーザーが知っておくべきトレードオフがいくつかあります。
nLockTimeとCSVウォレットの混在
すでにビットコイン2-of-2アカウント(ほとんどのユーザーが利用する既定のアカウントタイプ)をご利用の場合、しばらくの間は資金がnLockTimeとCSVのアドレスに混在するでしょう。新しく受け取った資金はCSVによって保護され、nLockTimeの資金も使用することでCSVへと移行されます。
タイムロック経過後はニモニックのみで送金可能に
もし二段階認証をセットアップしていてニモニック(リカバリーフレーズ)が盗難された場合、タイムロック経過後(既定では12ヶ月後)にはタイムロックのバックアップなしで送金されてしまう恐れがあります。資金を安全に保管するには、必ず二段階認証をセットアップし、ウォレットへの再入金推奨のお知らせが表示された場合には従うようおすすめします。
手数料の微増
CheckSequenceVerifyタイムロックはnLockTimeタイムロックよりブロックチェーン上のスペースを少し多く使用します。その結果として、Blockstream Greenウォレットからのトランザクション手数料が平均で2%ほど増加する見込みです。(将来的にはTaprootが導入されれば大幅に安くすることもできます。)
最新版へのアップデート
CSVを利用できるのは、以下のバージョン以後のBlockstream Greenからログインしているユーザーのみです:
- iOS版・Android版: 3.4.3以降 (最新版は 3.4.7)
- デスクトップ版: 0.0.6以降 (最新版は 0.0.9)
詳細はヘルプセンターまで
Blockstream Greenのマルチシグとタイムロックを組み合わせた仕組みは少し複雑なので、もし知りたいことが合った場合はツイッターからご質問いただくか、ヘルプセンターからお問い合わせください。あなたのご意見が、ユーザー向けガイドの充実につながります。